酔古堂剣掃 / 集靈・異士は未だ必ずしも山澤に在らず
山澤未必有異士,異士未必在山澤。
新字:山沢未必有異士,異士未必在山沢。
書き下し
山澤に未だ必ずしも異士有らず、異士は未だ必ずしも山澤に在らず。
現代語訳
山や沢に必ずしもすぐれた人物がいるとは限らず、すぐれた人物が必ずしも山や沢にいるとも限りません。
解説
語順を入れ替えただけの二句で、隠者への思い込みを崩す一則です。山澤は山や沼沢で、世を避けた隠者の住む所とされてきました。異士は世に並外れた人物のことです。山にこもっていれば高士だと思うのも、高士ならば山にこもっているはずだと思うのも、どちらも形にとらわれた見方だと言います。町の中で働きながら澄んだ心を保つ人もいれば、山に入っても名誉を求める人もいます。昔から大隠は市に隠るとも言われます。肩書きや居場所ではなく、その人の中身を見よという教えとして、人を評価する場面にも通じます。
この章句が説くこと
隠逸処世人物識見先入観
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