酔古堂剣掃 / 集靈・惟だ儉のみ以て廉を助く
惟儉可以助廉,惟恕可以成德。
新字:惟倹可以助廉,惟恕可以成徳。
書き下し
惟だ儉のみ以て廉を助くべく、惟だ恕のみ以て德を成すべし。
現代語訳
ただ倹約だけが清廉を助けることができ、ただ思いやりだけが徳を完成させることができます。
解説
倹約と清廉、思いやりと徳を結びつけた短い対句です。儉は暮らしを慎ましくすること、廉は私利をむさぼらない潔さ、恕は自分の身に引き比べて相手を思いやることです。ぜいたくに慣れると出費がかさみ、やがて筋の悪い収入にも手を伸ばしたくなるので、倹約は清廉の土台になります。恕は論語で孔子が、一言で生涯行うべきものとして挙げた言葉でもあります。自分に対しては慎ましく、人に対しては寛くという、二つの方向の心がけが並べられているのです。暮らしを小さく保つことが心の自由を守り、人を責める前に自分に引き比べることが信頼を育てます。
この章句が説くこと
勤倹清廉修身恕徳
関連する章句
-
呂氏春秋・精通③德なる者は、萬民の宰なり。月なる者は、群陰の本なり。月望なれば則ち蚌蛤實ち、群陰盈つ。月晦なれば則ち蚌蛤虚しく、群陰虧く。夫れ月、天に形われて、群陰、淵に化す。聖人、德を己に行いて、四方咸仁に飭し。
-
論語・衛霊公篇子曰く、由、徳を知る者は鮮なし。
-
論語・為政篇子曰く、之を道びくに政を以てし、之を斉(ととの)うるに刑を以てすれば、民免れて恥無し。之を道びくに徳を以てし、之を斉うるに礼を以てすれば、恥有り且つ格(いた)る。
-
論語・憲問篇南宮适、孔子に問いて曰く、「羿は射を善くし、奡は舟を盪かす。倶に其の死を得ざりき。禹・稷は躬ら稼して天下を有てり。」夫子答えず。南宮适出づ。子曰く、「君子なるかな若き人。徳を尚ぶかな若き人。」
-
論語・為政篇子曰く、政を為すに徳を以てすれば、譬えば北辰其の所に居て衆星之に共(むか)うが如し。
-
『墨子』親士是の故に天地は昭昭たらず、大水は潦潦たらず、大火は燎燎たらず、王徳は堯堯たらず。者は乃ち千人の長なり。其の直きこと矢の如く、其の平らかなること砥の如きは、萬物を覆うに足らず。是の故に谿の狹き者は速やかに涸れ、逝の淺き者は速やかに竭き、墝埆なる者は其の地育まず。王者の淳き澤も、宫中を出でざれば、則ち國に流るる能わず。