酔古堂剣掃 / 集靈・眼を開けば天地の闊きを覺ゆ
開眼便覺天地闊,撾鼓非狂;林臥不知寒暑,上床空算。
新字:開眼便覚天地闊,撾鼓非狂;林臥不知寒暑,上床空算。
書き下し
眼を開けば便ち天地の闊きを覺ゆ、鼓を撾つも狂に非ず。林に臥せば寒暑を知らず、床に上りて空しく算ふ。
現代語訳
目を見開けば、たちまち天地の広さが感じられます。そうなれば太鼓を打ち鳴らしても狂気ではありません。林の中に寝ころべば暑さ寒さも忘れます。寝床に上がってあれこれ算段するのはむなしいことです。
解説
視野を広げることと、閉じこもって勘定することとを対比した一則です。前半は、目を開いて天地の広さを知った人は、世間から見て常軌を外れた振る舞いをしても狂ではない、と言います。撾鼓は太鼓を打ち鳴らすことで、後漢の禰衡が曹操の前で太鼓を打って憤りを示した話を思わせます。後半の上床空算は読みが定まりにくい句ですが、寝床の上で損得を数える空しさを言うものと読めます。林に寝ころんで季節を忘れる境地と、寝床の上で計算をめぐらす姿が対になっています。狭い部屋で悩み続けるより、外に出て空を見上げると、悩みの大きさが違って見えることがあります。
この章句が説くこと
閑適自然隠逸視野胸襟
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