酔古堂剣掃 / 集靈・好茶は用ひて以て煩を滌ふ
好香用以熏德,好紙用以垂世,好筆用以生花,好墨用以煥彩,好茶用以滌煩,好酒用以消憂。
新字:好香用以熏徳,好紙用以垂世,好筆用以生花,好墨用以煥彩,好茶用以滌煩,好酒用以消憂。
書き下し
好香は用ひて以て德を熏じ、好紙は用ひて以て世に垂れ、好筆は用ひて以て花を生じ、好墨は用ひて以て彩を煥かし、好茶は用ひて以て煩を滌ひ、好酒は用ひて以て憂ひを消す。
現代語訳
よい香は、徳を薫らせるために使い、よい紙は、後の世に残すために使い、よい筆は、花のような文章を生み出すために使い、よい墨は、彩りを輝かせるために使い、よい茶は、わずらわしさを洗い流すために使い、よい酒は、憂いを消すために使います。
解説
文人の愛した六つの品について、それぞれの使い道を並べた一則です。香は身と心を清め、紙は作品を後世に伝え、筆は文章を生み、墨は書画に彩りを添え、茶は煩わしさを払い、酒は憂いを晴らします。筆で花を生ずるとは、唐の李白が筆の先に花が咲く夢を見てから文才が開いたという、夢筆生花の話を踏まえています。よい道具は、ただ持っていることに意味があるのではなく、何のために使うかで価値が決まるという考えがこめられています。道具にこだわるなら、その目的もはっきりさせたいものです。そうすれば、道具は単なる物ではなく、自分を高める友になります。
この章句が説くこと
文房風雅茶道具閑適
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