酔古堂剣掃 / 集靈・胸中に些の渣滓無し
眼裡無點灰塵,方可讀書千卷;胸中沒些渣滓,才能處世一番。
新字:眼裡無点灰塵,方可読書千巻;胸中没些渣滓,才能処世一番。
書き下し
眼裡に點の灰塵無くして、方に書千卷を讀むべく、胸中に些の渣滓沒くして、才かに能く世に處すること一番なり。
現代語訳
目の中に一点のほこりもなくなって、はじめて千巻の書物を読むことができ、胸の中に少しのかすもなくなって、はじめて世の中をひとかどに渡っていくことができます。
解説
読書と処世の前提として、心の澄み方を説いた一則です。眼裡の灰塵は、ものを見る目を曇らせる先入観や欲、胸中の渣滓は、心の底にたまった濁りやわだかまりのことです。千巻の書を読むといっても、目が曇っていれば、書かれていることを正しく受け取れません。世を渡るといっても、心に濁りがあれば、人を正しく見ることも、正しく振る舞うこともできません。知識を増やしたり経験を積んだりする前に、まず自分の目と心を澄ませることが大切だというのです。偏見や思い込みを取り除く努力は、学びにも人間関係にも、欠かせない第一歩なのでしょう。
この章句が説くこと
読書修身処世清心学問
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