酔古堂剣掃 / 集靈・裾を曳くは自ら屈す
投刺空勞,原非生計;曳裾自屈,豈是交游。
新字:投刺空労,原非生計;曳裾自屈,豈是交游。
書き下し
刺を投ずるは空しく勞す、原より生計に非ず。裾を曳くは自ら屈す、豈に是れ交游ならんや。
現代語訳
名刺を差し出して有力者に取り入ろうとしても骨折り損で、もともと暮らしを立てる道ではありません。長い裾を引きずって権門に出入りするのは自分を卑しめることで、どうして本当の交わりと言えるでしょうか。
解説
権力者へのへつらいを、きっぱり退けた一則です。刺を投ずるは、名刺を差し出して面会を求めることで、就職や出世の手づるを求める行為をいいます。裾を曳くは、漢の鄒陽が、どこの王の門でも長い裾を引いて出入りできる、と書いたことから、権門に身を寄せて取り入ることを指すようになりました。そうした行いは、生活のためにもならず、友情とも呼べないというのです。人脈づくりは今も大切だと言われますが、相手の地位に頭を下げるだけの関係は長続きしません。対等に心を通わせられる相手との縁こそ、本当の財産になるのでしょう。
この章句が説くこと
交友気骨処世自立節操
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