酔古堂剣掃 / 集峭・松枝は自ら是れ幽人の筆
松枝自是幽人筆,竹葉常浮野客杯。且與少年飲美酒,往來射獵西山頭。
新字:松枝自是幽人筆,竹葉常浮野客杯。且与少年飲美酒,往来射猟西山頭。
書き下し
松枝は自ら是れ幽人の筆、竹葉は常に野客の杯に浮ぶ。且く少年と美酒を飲み、西山の頭に往來して射獵せん。
現代語訳
松の枝はそのまま隠者の筆となり、竹の葉はいつも野に住む者の杯に浮かんでいます。しばらくは若者たちと美酒を酌み交わし、西山のほとりを行き来して狩りをしましょう。
解説
前半の隠者の静かな風雅と、後半の若者との豪快な遊びとを組み合わせた一則です。松の枝を筆にするとは、自然の中で字を書き詩を作る暮らしのことです。竹葉は竹の葉であると同時に、竹葉青という酒の名にも掛けています。幽人と野客は、どちらも世を離れて暮らす人です。後半は一転して、若者たちと酒を飲み、山で狩りをするという活気ある場面です。静かな隠遁だけでなく、ときには若い人と交わって体を動かす、その両方があってこそ心は若々しく保たれるのでしょう。年齢を重ねても、若い世代と一緒に楽しむ機会を大切にしたいものです。
この章句が説くこと
隠逸風雅交友酒閑適
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集峭・松篁の裡に茶を煎る雲水の中に酒を載せ、松篁の裡に茶を煎る、豈に必ずしも鑾坡に宴に侍らんや;山林の下に書を著し、花鳥の閒に句を得、何ぞ鳳沼に毫を揮ふを須ひん。
-
『酔古堂剣掃』集靈・此の中の主人と作る竹籬茅舍、石屋花軒、松柏群がり吟じ、藤蘿景を翳ふ。流水戶を繞り、飛泉簷に挂る。煙霞棲まんと欲し、林壑將に瞑れんとす。中に野叟山翁四五處り、予閒身を以て、此の中の主人と作る。坐して紅燭を沈め、青山を看遍し、我が情腸を消し、他の冷眼に任す。
-
『酔古堂剣掃』集靈・談ずる所は浮生の閒話累月獨り處り、一室蕭條たり。雲霞を取りて伴侶と為し、青松を引きて心知と為す。或いは稚子老翁、閒中に來り過ぎれば、濁酒一壺、蹲鴟一盂、相共に笑口を開き、談ずる所は浮生の閒話、絕えて市朝に及ばず。客去れば門を關ざし、了に報謝無し、是の如くして餘生を畢へなば足れり。
-
『酔古堂剣掃』集素・麈を揮ひて但だ青山を說く虛堂に燭を留め、書を抄して尚ほ老眼を存す。 客有りて門に到れば、麈を揮ひて但だ青山を說く。
-
『酔古堂剣掃』集素・茗を瀹て棋を奕す因りて舊廬を葺き、渠を疏して泉を引き、周らすに花木を以てし、日に其の間に哦す。 故人過り逢へば、茗を瀹て棋を奕し、杯酒淋浪として、殆ど塵中の物に非ざるなり。
-
『酔古堂剣掃』集峭・蒼松は古柏と齊しく齡を增す瑤草は芳蘭と並び茂り、蒼松は古柏と齊しく以て齡を增す。