酔古堂剣掃 / 集峭・囊に子美の一文錢無し
書載茂先三十乘,便可移家;囊無子美一文錢,盡堪結客。
新字:書載茂先三十乗,便可移家;嚢無子美一文銭,尽堪結客。
書き下し
書は茂先の三十乘を載せて、便ち家を移すべく、囊には子美の一文錢無きも、盡く客を結ぶに堪ふ。
現代語訳
書物は張華(晋の博学者)のように車三十台分も積めば、それだけで引っ越しができ、財布には杜甫のように一文の銭もなくても、十分に客と交わりを結ぶことができます。
解説
書物と友さえあれば、お金がなくても豊かに生きられるという一則です。茂先は晋の張華の字で、無類の読書家として知られ、引っ越しのときには書物だけで車三十台分あったと伝えられます。子美は唐の杜甫の字で、財布が空では恥ずかしいので、一銭だけ残して眺めておこうと詠んだ詩が知られています。前半は財産といえば書物だけ、後半は財布が空でも友とは付き合えるというところに、清貧を楽しむ誇りがあります。人との付き合いはお金で結ぶものではなく、心で結ぶものです。持ち物の多さではなく、知と縁の豊かさで暮らしを測りたいものです。
この章句が説くこと
清貧読書交友故事知足
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