酔古堂剣掃 / 集峭・唯だ技多きの人最も勞す
是技皆可成名天下,唯無技之人最苦;片技即足自立天下,唯多技之人最勞。
新字:是技皆可成名天下,唯無技之人最苦;片技即足自立天下,唯多技之人最労。
書き下し
是れ技なれば皆名を天下に成すべし、唯だ技無きの人最も苦しむ。片技即ち自ら天下に立つに足る、唯だ技多きの人最も勞す。
現代語訳
技でありさえすれば、どんなものでも天下に名を上げることができます。ただ何の技もない人が最も苦しみます。わずか一つの技でも、それだけで世の中に自立するには十分です。ただ技の多い人が最も苦労します。
解説
技を持つことの大切さと、技が多すぎることの苦労を、鋭い逆説で述べた一則です。どんな小さな技でも、極めれば世に名を成し、身を立てることができます。反対に何の技もなければ、生きていくのに最も苦労します。ところが、技が多すぎる人は、あれこれ頼まれて休む暇がなく、かえって一番忙しく疲れるというのです。器用な人ほど何でも引き受けて苦労するというのは、今の職場でもよく見る光景です。まずは一つの技をしっかり身につけること、そして技が増えたら、何を引き受け何を断るかを選ぶ知恵を持つことが大切なのでしょう。
この章句が説くこと
技芸自立専心処世勤労
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