酔古堂剣掃 / 集峭・他人の酒杯を奪ひて自己の礧磈に澆ぐ
奪他人之酒杯,澆自己之礧磈。
書き下し
他人の酒杯を奪ひて、自己の礧磈に澆ぐ。
現代語訳
他人の酒杯を奪い取って、自分の胸の中のわだかまりに注ぎかけます。
解説
他人の言葉や物語を借りて、自分の胸の中の鬱屈を晴らすことをいう一則です。礧磈は積み重なった石のことで、胸につかえた不平や憂さのたとえです。世説新語に、阮籍の胸中には塊があるので、酒でそれを洗い流す必要がある、という言葉が見え、後に、他人の酒杯を借りて自分の塊に注ぐ、という成句になりました。ここでは借りるではなく奪うと言っているところに、集峭らしい激しさがあります。詩人が古人の言葉を引いて自分の思いを語るのも、まさにこの営みです。心の重荷を下ろすのに、他人の書いた言葉や物語が助けになることは、今もよくあります。
この章句が説くこと
鬱屈読書文学心故事
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