酔古堂剣掃 / 集峭・歌兒は煙霞の致を帶ぶ
歌兒帶煙霞之致,舞女具丘壑之資;生成世外風姿,不慣塵中物色。
新字:歌児帯煙霞之致,舞女具丘壑之資;生成世外風姿,不慣塵中物色。
書き下し
歌兒は煙霞の致を帶び、舞女は丘壑の資を具ふ。生れながらに世外の風姿を成し、塵中の物色に慣れず。
現代語訳
歌い手はもやや霞のような世俗を超えた趣を帯び、舞い手は山や谷のような自然の気品を備えています。生まれつき俗世を離れた風姿をしていて、塵にまみれた世の中の華美には染まっていません。
解説
芸に生きる人の中に、隠者のような清らかさを見いだした一則です。煙霞と丘壑は、ともに山水の自然を表し、世を離れて自然を愛する隠者の境地を示す言葉です。致は趣、資は素質のことです。物色はここでは世俗の華やかさや値踏みの目をいいます。歌や舞で人を楽しませる人々は、ともすれば世俗の欲の中にいると見られがちですが、本当にすぐれた芸人は、むしろ世俗を超えた気品を身にまとっているというのです。どんな職業にも、その道を究めた人だけが持つ品格があります。職業で人を判断せず、その人の風姿そのものを見る目を持ちたいものです。
この章句が説くこと
芸道気品風雅隠逸見識
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