酔古堂剣掃 / 集峭・殿上の虎
才士不妨泛駕,轅下駒吾弗願也;諍臣豈合摸棱,殿上虎君無尤焉。
書き下し
才士は駕を泛すを妨げず、轅下の駒は吾願はざるなり、諍臣豈に摸棱に合せんや、殿上の虎たるも君尤むる無からん。
現代語訳
才能ある人は、車をひっくり返すような型破りな振る舞いをしてもかまいません。轅につながれておどおどする子馬のようにはなりたくありません。諫める臣下が、どっちつかずの態度をとってよいものでしょうか。宮殿の虎と恐れられるほど直言しても、主君はとがめたりしないでしょう。
解説
型にはまらない才能と、まっすぐな直言をたたえた、集峭らしい一則です。泛駕は車をひっくり返す暴れ馬のことで、漢の武帝が、暴れ馬や常識外れの人材も使い方しだいだと述べた詔が知られています。轅下の駒は、車の轅につながれて縮こまる若い馬で、臆病で決断できない人のたとえです。摸棱は、唐の蘇味道が物事をはっきりさせずに両方の角をなでておけばよいと言い、摸稜手と呼ばれた話から来た語です。殿上の虎は、宋の劉安世が遠慮なく諫言したため、こう呼ばれた話によります。組織にとって本当に価値があるのは、無難な人より、言うべきことを言う人です。
この章句が説くこと
直言気骨人材治政諫言
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