酔古堂剣掃 / 集峭・跡を詭りて禪に逃る
嬾見俗人,權辭托病;怕逢塵事,詭跡逃禪。
新字:嬾見俗人,権辞托病;怕逢塵事,詭跡逃禅。
書き下し
俗人に見ゆるに嬾く、權に辭して病に托し、塵事に逢ふを怕れ、跡を詭りて禪に逃る。
現代語訳
俗っぽい人に会うのが面倒で、その場しのぎに病気を口実にして断り、世間のわずらわしい用事にかかわるのが怖くて、姿をくらまして禅寺に逃げこみます。
解説
世俗を避けたがる隠者気取りの心を、率直に、少し自嘲をこめて描いた一則です。嬾くは面倒がること、權には、かりに、その場しのぎに、の意味です。塵事は世間の雑事、詭跡は行方をくらますことです。禅に逃るとは、悟りを求めるためではなく、ただ面倒から逃げる口実として寺に行くということで、どこか後ろめたさがにじんでいます。集峭に収められているのは、こうした本音をさらけ出す鋭さのためでしょう。人付き合いに疲れたとき、距離を置くことは必要です。ただ、それが逃げになっていないか、自分に正直に問うことも忘れないようにしたいものです。
この章句が説くこと
隠逸処世本音交友禅
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