酔古堂剣掃 / 集峭・書香化して銅臭と爲る
親兄弟析箸,壁合翻作瓜分;士大夫愛錢,書香化為銅臭。
新字:親兄弟析箸,壁合翻作瓜分;士大夫愛銭,書香化為銅臭。
書き下し
親兄弟箸を析けば、壁合翻つて瓜分と作り、士大夫錢を愛すれば、書香化して銅臭と爲る。
現代語訳
実の兄弟が財産を分けて別々に暮らすようになれば、一つに合わさっていた玉がかえって瓜を割るようにばらばらになり、学問のある士大夫がお金を好むようになれば、書物の香りは銅銭の臭いに変わってしまいます。
解説
家族の分裂と、知識人の金銭欲を並べて戒めた一則です。箸を析くは、家の財産を分けて別々に暮らすことです。壁合は璧合、つまり二つの玉が一つに合わさった姿の意味とみられ、兄弟の和合をいいます。瓜分は瓜を切るように分割されることです。銅臭は、後漢の崔烈がお金で高い官職を買ったとき、息子に世間は父上の銅の臭いを嫌っていますと言われた話が元です。財産を分けること自体は悪ではありませんが、それをきっかけに心まで分かれてしまうことが悲しいのです。お金は大切ですが、それが人の関係や志よりも前に来ると、大切なものを失います。
この章句が説くこと
家訓清廉兄弟金銭修身
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集豪・孔方兄に絕交の書有り管城子に食肉の相無し、世人の皮相何をか為さん。孔方兄に絕交の書有り、今日の盟交安くにか在る。
-
『格言聯璧』敦品類・子孫の爲に福を造る親兄弟箸を析けば、璧合も翻りて瓜分と作る。 士大夫錢を愛すれば、書香も化して銅臭と爲る。 士大夫は當に子孫の爲に福を造るべし、當に子孫の爲に福を求むべからず。 家規を謹み、儉樸を崇び、耕讀を教へ、陰德を積む、此れ福を造るなり。
-
『酔古堂剣掃』集靈・享けずして財を守り誚りを遺す費を惜しまざれば、必ず空乏に至りて人に求む。享けざれば、財を守りて誚りを遺すも怪しむ無し。
-
『酔古堂剣掃』集峭・經史は吾が家の田忠孝は吾が家の寶、經史は吾が家の田。
-
『酔古堂剣掃』集奇・貨財を以て子孫を害す貨財を以て子孫を害するは、必ずしも戈を操りて室に入らず。學校を以て後世を殺すは、劍を按じ兵を伏するが如き有り。
-
『酔古堂剣掃』集法・貨財を積むの心を以て學問を積む貨財を積むの心を以て學問を積み、功名を求むるの念を以て道德を求め、子女を愛するの心を以て父母を愛し、爵位を保つの策を以て國家を保つ。