酔古堂剣掃 / 集峭・戲れに騷人と白戰す
斜陽樹下,閒隨老衲清談;深雪堂中,戲與騷人白戰。
新字:斜陽樹下,閒随老衲清談;深雪堂中,戯与騷人白戦。
書き下し
斜陽の樹下、閒かに老衲に隨ひて清談し;深雪の堂中、戲れに騷人と白戰す。
現代語訳
夕日の差す木の下では、のんびりと老僧について世俗を離れた話をし、雪深い座敷の中では、戯れに詩人たちと白戦(決まった字を禁じて雪の詩を競うこと)をします。
解説
閑かな暮らしの中の二つの楽しみを、夕日と雪の景で対にした句です。老衲は年老いた僧、清談は俗事を離れた高尚な話です。騷人は『離騒』の作者屈原にちなんで詩人を言う言葉です。白戰は、北宋の欧陽脩が雪の詩を作る際に、玉・月・梨・梅など雪を形容するありきたりの字を禁じて競作させたことに始まり、蘇軾もこれに倣った詩の遊びで、「白戦体」と呼ばれます。素手で戦うように、使い古された言葉に頼らずに詠むという意味です。夕暮れの静かな対話と、雪の日の知的な遊びと、どちらも心を豊かにします。決まり文句に頼らず自分の言葉を探す遊びは、今の文章にも生かせるでしょう。
この章句が説くこと
閑適清談白戦風雅詩作
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集素・落葉を煨きて紅爐と為す山房の磬は、綠玉に非ずと雖も、沉明輕清の韻、盡く清歌を節し俗耳を洗ふべし。 山居の樂しみ、頗る冷趣に愜ふ。落葉を煨きて紅爐と為し、況んや暄を岩戶に負ふをや。 土鼓梅を催し、荻灰地を暖む。潛凜以て蕭索たりと雖も、素柯の歲を凌ぐを見る。 同雲流れず、舞雪醉ふが如し。野は曠きに因りて冷やかに舒び、山は靜かなるを以て晦からず。 枯魚懸かる在り、濁酒已に注ぐ。朋徒我に從ひ、寒盟固むべし。 歲暮を天涯に驚かず、即ち是れ纊を孤嶼に挾むなり。
-
『酔古堂剣掃』集韻・東坡の赤壁を繼ぐ篇詩斗酒、何ぞ太白の丹丘に殊ならん。舷を扣き簫を吹き、好し東坡の赤壁を繼がん。
-
『酔古堂剣掃』集靈・梅月半灣、書窗の殘雪を掩映す竹風一陣、茶灶の疏煙を飄颺し、梅月半灣、書窗の殘雪を掩映す。
-
『酔古堂剣掃』集綺・騷人笛を弄す窗外に梅開けば、騷人の笛を弄する有るを喜び、 石邊に雪積もれば、還た小妓の茶を烹るを須つ。
-
『酔古堂剣掃』集倩・寒江獨釣圖の中に在り紅寥の灘頭、青林の古岸、西風面を撲ち、風雪頭を打つ、蓑を披り笠を頂き、竿を煙水に執れば、儼然として米芾の『寒江獨釣圖』中に在り。
-
『酔古堂剣掃』集靈・滯葉を疏して鄰水を通ず閒に滯葉を疏して鄰水を通じ、荒居を典して小山を作らんと擬す。