酔古堂剣掃 / 集峭・一輪の心月獨り明らかなり
看破有盡身軀,萬境之塵緣自息;悟入無懷境界,一輪之心月獨明。
新字:看破有尽身躯,万境之塵縁自息;悟入無懐境界,一輪之心月独明。
書き下し
盡くる有るの身軀を看破すれば、萬境の塵緣自ら息み;懷ふ無きの境界に悟入すれば、一輪の心月獨り明らかなり。
現代語訳
限りあるこの身体をはっきり見破れば、あらゆる境遇の俗世の縁はおのずとやみます。思い煩いのない境地に悟り入れば、一輪の心の月がただひとり明るく照り輝きます。
解説
身の有限さを悟ることが、執着を離れ心を明るくする道だと説いた対句です。有盡身軀は、いずれ尽きる、限りある体のことです。萬境の塵緣は、あらゆる場面で人を絡め取る俗世の縁やしがらみです。無懷境界は、何も思い煩わない境地、心月は仏教で、本来清らかな心を満月にたとえた言葉です。自分の命に限りがあると本当に見抜けば、細かな損得やしがらみにこだわることのむなしさが分かり、心は自然に静まります。そして雲の晴れた空に満月が輝くように、本来の心が明るく照らし出されるのです。限りある時間をどう使うかを考えることは、心の整理にもつながります。
この章句が説くこと
無常心月仏教執着修養
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