酔古堂剣掃 / 集醒・眼前時に月到り風來る
撥開世上塵氣,胸中自無火炎冰兢;消卻心中鄙吝,眼前時有月到風來。
新字:撥開世上塵気,胸中自無火炎冰兢;消却心中鄙吝,眼前時有月到風来。
書き下し
世上の塵氣を撥開すれば、胸中自ら火炎冰兢無し。 心中の鄙吝を消卻すれば、眼前時に月到り風來る有り。
現代語訳
世の中の俗な塵を払いのければ、胸の中には燃え上がる焦りも凍りつくような怯えもなくなります。心の中のいやしさやけちな思いを消し去れば、目の前にはときおり月が昇り風が吹いてくるような爽やかさが訪れます。
解説
心の内を掃除すれば、世界の見え方が変わると説いた対句です。塵気は俗世の汚れた気、火炎冰兢は、火のように燃える焦りと、氷を踏むようにおびえる心を言います。鄙吝はいやしく物惜しみする心です。俗世の塵を払えば、名利を求める焦りや失うことへの恐れが消えます。心のけち臭さを捨てれば、月や風のような自然の清らかさが、目の前にふと訪れてきます。菜根譚にもほぼ同じ句があります。外の環境を変えるより先に、自分の心から余計なものを払うことが、穏やかな日々への近道だと教えています。
この章句が説くこと
清心脱俗自然心閑適
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