酔古堂剣掃 / 集峭・百折して回らざるの眞心
士人有百折不回之真心,纔有萬變不窮之妙用。
新字:士人有百折不回之真心,纔有万変不窮之妙用。
書き下し
士人は百折して回らざるの眞心有りて、纔かに萬變して窮まらざるの妙用有り。
現代語訳
士たる者は、百度くじけても引き返さない真心があってこそ、はじめてどんな変化にも行き詰まらない見事な働きができるのです。
解説
変化に応じる柔軟な働きは、決して揺るがない芯があってこそ生まれることを説いた一則で、『菜根譚』にもほぼ同じ句があります。百折不回は、百回折れても方向を変えないこと、すなわち不屈の意志です。萬變不窮は、どれほど状況が変わっても行き詰まらないこと、妙用はたくみな働きです。纔は「そこではじめて」の意味です。臨機応変というと器用さの問題と思われがちですが、この句は、ぶれない真心という土台があって、はじめて柔軟な対応が生きると言います。芯のない柔軟さは、ただの迎合に終わってしまうからです。仕事で変化に振り回されるときこそ、自分が決して曲げない芯を確かめたいものです。
この章句が説くこと
菜根譚不屈臨機応変修身立志
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集靈・氣節は千載一日事業文章は、身に隨ひて銷毀し、而して精神は萬古に新たなるが如し。功名富貴は、世を逐ひて轉移し、而して氣節は千載一日なり。
-
『酔古堂剣掃』集豪・品は心に由りて定まる才は氣を以て雄に、品は心に由りて定まる。
-
『酔古堂剣掃』集法・心を虛にせざれば事を知らず心を實にせざれば、事を成さず。心を虛にせざれば、事を知らず。
-
『酔古堂剣掃』集豪・意氣のみを以て勝るに匪ず大事を辦ずる者は、獨り意氣を以て勝るのみに匪ず、蓋し亦た其の智略絕するなり。故に氣を負ひて雄行すれば、力以て公侯を折くに足り、奇を出だし算を制すれば、事以て耳目を駭かすに足る。此の如き人は、俱に千古なり。嗟嗟、今世は徒らに虛語なるのみ。
-
『酔古堂剣掃』集峭・男子と做らんと要せば剛腸を負ふ男子と做らんと要せば、須らく剛腸を負ふべし、古人を學ばんと欲せば、當に苦志を堅くすべし。
-
『酔古堂剣掃』集法・志は一日も墜すべからず志は一日も墜すべからず、心は一日も放つべからず。