酔古堂剣掃 / 集峭・位無きの卿相
平民肻種德施惠,便是無位之卿相;仕夫徒貪權市寵,竟成有爵的乞人。
新字:平民肻種徳施恵,便是無位之卿相;仕夫徒貪権市寵,竟成有爵的乞人。
書き下し
平民も肻へて德を種ゑ惠みを施さば、便ち是れ位無きの卿相なり;仕夫も徒らに權を貪り寵を市らば、竟に爵有るの乞人と成る。
現代語訳
一般の人でも、進んで徳を積み恵みを施すならば、それは位のない大臣です。官に仕える人でも、いたずらに権力をむさぼり寵愛を売り買いするならば、ついには爵位を持った乞食になってしまいます。
解説
人の値打ちは地位ではなく行いで決まることを、鮮やかな逆説で示した対句で、『菜根譚』にもほぼ同じ句があります。肻は肯と同じで、進んで〜すること、卿相は大臣や宰相です。市寵は主君の寵愛を取引の材料のように売り買いすることです。位のない庶民でも人に恵みを施せば大臣と同じ働きをしており、爵位のある官僚でも権勢や寵愛ばかり求めるなら、心は物乞いと変わらない、と言うのです。肩書きがあるから偉いのでも、肩書きがないから小さいのでもありません。自分の持ち場で人のために何ができるかが、その人の本当の位を決めるのです。役職に関係なく、周りに徳を施す人でありたいものです。
この章句が説くこと
菜根譚徳権勢処世人品
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