酔古堂剣掃 / 集峭・議論は回飇の渚を拂ふ
體裁如何,出月隱山;情景如何,落日映嶼;氣魄如何,收露斂色;議論如何,回飇拂渚。
新字:体裁如何,出月隠山;情景如何,落日映嶼;気魄如何,収露斂色;議論如何,回飇払渚。
書き下し
體裁は如何、出づる月の山に隱るるなり;情景は如何、落日の嶼に映ずるなり;氣魄は如何、露を收め色を斂むるなり;議論は如何、回飇の渚を拂ふなり。
現代語訳
文章の体裁とはどのようなものか。昇る月が山に見え隠れするようなものです。情景とはどのようなものか。沈む夕日が小島に照り映えるようなものです。気魄とはどのようなものか。露を収め、色をひきしめるようなものです。議論とはどのようなものか。つむじ風が渚を吹き払うようなものです。
解説
文章の四つの要素を、それぞれ自然の景に見立てて示した一則とみられます。體裁は作品の形や構え、情景は描かれる心と景色、氣魄は内にこもる力、議論は筋道を立てて論じる部分です。体裁は月が山から出ては隠れるように、見せすぎず隠しすぎない奥ゆかしさが良く、情景は夕日が島を照らすように鮮やかに映えるのが良いと言います。気魄は露を収め色を抑えるように内に力をため、議論はつむじ風が渚を一気に吹き払うように爽快であるべきだとします。抽象的な批評を景色で語るのは中国の詩論の伝統で、読む者に直感的な理解を促します。文章を書くとき、四つの面から自分の文を見直す手がかりになります。
この章句が説くこと
文章詩論気魄議論風雅
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