酔古堂剣掃 / 集情・燈は細花を結ぶ
燈結細花成穗落,淚題愁字帶痕紅。
新字:灯結細花成穂落,涙題愁字帯痕紅。
書き下し
燈は細花を結びて穗と成りて落ち、淚は愁字に題して痕を帶びて紅なり。
現代語訳
灯火の芯には細かな花が結ばれ、穂のようになって落ち、涙ながらに書いた愁いの字は紅い跡を帯びています。
解説
眠れぬ夜の閨の寂しさを、灯火と涙で描いた七言の対句です。燈花は灯芯の先にできる花のような燃えかすで、昔は吉事や待ち人の訪れの前触れとされました。その燈花が穂のようになって落ちるのは、夜が長く更けたこと、そして待つ人がまだ来ないことを暗示します。涙が紅いのは、紅をさした頬を伝った涙だからとも、血の涙だからとも読めます。愁字は愁いの言葉で、涙ながらに手紙や詩を書くさまでしょう。灯と涙、落ちるものと残るものの対が哀切です。待つ時間の長さは、人の思いの深さでもあります。誰かを待った夜のことを思い出させる句です。
この章句が説くこと
恋情灯花涙待つ詩情
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