酔古堂剣掃 / 集情・遠き處の簾攏半夜の燈
靜中樓閣深春雨,遠處簾攏半夜燈。
新字:静中楼閣深春雨,遠処簾攏半夜灯。
書き下し
靜中の樓閣は春雨に深く、遠き處の簾攏は半夜の燈。
現代語訳
静けさの中で楼閣は春雨に深く包まれ、遠くの簾のかかった窓には、夜半の灯がともっています。
解説
春の雨夜の静けさを、近くと遠くの二つの景で描いた対句です。簾攏は簾をかけた窓のことです。前の句は雨に煙る楼閣の姿、後の句は遠くに一つだけ見える灯火で、どちらも音のない情景ですが、雨の音と、灯のもとで眠れずにいる誰かの気配が感じられます。集情に収められているのは、その遠い灯に、会えない人への思いを重ねているからでしょう。夜更けに遠くの窓明かりを見て、あそこにも誰かの暮らしがあると感じる経験は、今の都会でも変わりません。忙しい毎日の中で、こうした静かな景色に目をとめる余裕を持ちたいものです。
この章句が説くこと
情春雨夜閑寂風景
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