酔古堂剣掃 / 集情・儼として行雲の嫁ぐに似たり
斜看兩鬟垂,儼似行雲嫁。
新字:斜看両鬟垂,儼似行雲嫁。
書き下し
斜めに兩鬟の垂るるを看れば、儼として行雲の嫁ぐに似たり。
現代語訳
斜めから左右に垂れた二つの髷を見ると、まるで空を行く雲が嫁いでいくかのようです。
解説
若い娘の髪型を、流れる雲にたとえた五言の対句です。兩鬟は頭の左右に結った二つの髷で、少女や若い侍女の髪型でした。行雲は空を流れる雲で、巫山の神女が朝は雲となると語った故事以来、美しい女性の化身とされてきました。儼は、いかにも、まるでという意味です。斜めから見た髪の揺れを、雲がゆったりと嫁入りしていく姿に見立て、娘の初々しさと、やがて嫁いでいく人生の門出まで重ねています。ひとつの姿を見て、その人の先の人生にまで思いを馳せる眼差しがあります。身近な若い人の成長を温かく見守る心にも通じるでしょう。
この章句が説くこと
艶麗少女行雲門出詩情
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集倩・淡黛を山妝に拭ふ雲寒潭に落ちて、塵容を水鏡に滌ひ、 月深谷に流れて、淡黛を山妝に拭ふ。
-
『酔古堂剣掃』集情・然諾を重んずること丘山の如し桃葉に情を題し、柳絲に恨みを牽く。胡ぞ天なる胡ぞ帝なる、登徒於焉に目を怡ばしめ、雲と為り雨と為る、宋玉因りて心を蕩かす。泉刀を輕んずること土壤の若く、居然として翠袖の朱家、然諾を重んずること丘山の如く、紅籹の季布に添(忝)ぢず。
-
『酔古堂剣掃』集豪・半肩の行李に秋水春雲詞人は半肩の行李に、秋水春雲を收拾す。深宮は一世の梳妝に、晚花新柳を惱亂す。
-
『酔古堂剣掃』集情・纖腰を結風に騁す纖腰を結風に騁せ、新聲を度曲に奏し、鳴蟬の薄鬢に妝ひ、墮馬の垂鬟を照らす。金星は婺女と華を爭ひ、麝月は嫦娥と共に爽を競ふ。驚鸞の冶袖は、時に韓椽の香を飄し、飛燕の長裾は、宜しく陳王の佩を結ぶべし。身輕くして力無く、南陽の搗衣に怯え、深宮に生長して、扶風の織錦を笑ふ。
-
『酔古堂剣掃』集峭・黛葉を籠めて雲翹を卷く黃花を舉げて月艷に乘じ、黛葉を籠めて雲翹を卷く。
-
『酔古堂剣掃』集情・媚子を搔頭に懸く媚子を搔頭に懸け、釵梁を粉絮に拭ふ。