酔古堂剣掃 / 集情・雨は巴山に歇む
書題蜀紙愁難浣,雨歇巴山話亦陳。
書き下し
書は蜀紙に題して愁ひ浣ひ難く、雨は巴山に歇みて話も亦た陳し。
現代語訳
蜀の紙に書きつけた手紙の愁いは洗い流しがたく、巴山の雨がやんでしまえば、語り合うはずだった話ももう古びてしまいました。
解説
遠く離れた人への思いを、手紙と雨で詠んだ対句です。蜀紙は蜀で作られた上質の紙で、唐の女流詩人薛濤が作らせた色紙がよく知られます。巴山の雨は、晩唐の李商隠の詩「夜雨寄北」を踏まえます。巴山の夜の雨を見ながら、いつか二人で西の窓辺の灯火の芯を切り、今夜の雨のことを語り合いたいと詠んだ詩です。この句では、その雨もやみ、語り合うはずの話も古びてしまったと言い、会えないまま時が過ぎる寂しさを描きます。話したいことは、話せるうちに話しておくべきなのでしょう。先延ばしにしている再会や連絡を思い出させる一句です。
この章句が説くこと
恋情手紙巴山離別時の流れ
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