酔古堂剣掃 / 集情・空しく蜀女の祠に題す
填愁不滿吳娃井,剪紙空題蜀女祠。
新字:填愁不満呉娃井,剪紙空題蜀女祠。
書き下し
愁ひを填むれども吳娃の井を滿たさず、紙を剪りて空しく蜀女の祠に題す。
現代語訳
愁いをいくら詰め込んでも呉の美女の井戸を満たすことはできず、紙を切って蜀の女の祠に空しく詩を書きつけます。
解説
尽きることのない愁いと、届かない思いを詠んだ対句です。吳娃は呉の地の美しい娘、蜀女は蜀の女性で、どちらも古の美女にまつわる古跡を思わせます。前半は愁いで井戸を埋めようとしても満たせないと言い、愁いの深さを逆説的に示します。後半は、紙を切って祠に詩を題しても、その人にはもう届かないむなしさを描きます。美しい人がいた場所を訪ね、思いを言葉に託しても、失われたものは戻りません。それでも人は書かずにいられないのでしょう。失ったものを悼む気持ちを言葉にすることは、心を整える一つの方法です。
この章句が説くこと
愁い追慕古跡詩情恋情
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