酔古堂剣掃 / 集情・巫山を截ち住めて雲を放たず
填平湘㟁都栽竹,截住巫山不放雲。
書き下し
湘㟁を填め平らげて都て竹を栽ゑ、巫山を截ち住めて雲を放たず。
現代語訳
湘水の岸を埋めて平らにし、すべて竹を植えてしまい、巫山をさえぎり止めて雲を放してやりません。
解説
恋の故事を二つ重ねて、思いの激しさを誇張した対句です。湘水の竹は、舜の二人の妃である娥皇と女英が舜の死を嘆いて流した涙で竹にまだらができたという湘妃竹の伝説を踏まえます。巫山の雲は、宋玉の賦で楚王と契った神女が「朝は雲となり、夕べは雨となる」と言った話に基づきます。岸一面に涙の竹を植え、神女の化身である雲を山に閉じ込めて放さないというのは、恋の悲しみも逢瀬の面影も手放すまいとする心の表れでしょう。何かを強く思うとき、人はこうした無理な願いさえ抱きます。その激しさを自覚することが、心の平衡を取り戻す第一歩になります。
この章句が説くこと
恋情湘妃竹巫山執着詩情
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