酔古堂剣掃 / 集情・南山の竹を罄くすも意を寫すこと窮まり無し
罄南山之竹,寫意無窮;決東海之波,流情不盡;愁如雲而長聚,淚若水以難乾。
新字:罄南山之竹,写意無窮;決東海之波,流情不尽;愁如雲而長聚,涙若水以難乾。
書き下し
南山の竹を罄くすも、意を寫すこと窮まり無し。 東海の波を決するも、情を流すこと盡きず。 愁ひは雲の如くして長く聚まり、淚は水の若くして以て乾き難し。
現代語訳
南山の竹をすべて竹簡にして書き尽くしても、思いを書き表すことは終わりません。東海の波を切って流しても、情を流し尽くすことはできません。愁いは雲のようにいつまでも集まり、涙は水のようで乾きにくいのです。
解説
尽きることのない恋の思いを、壮大な誇張で表した一則です。前の二句は、隋末の群雄李密が煬帝の罪を数えた檄文の、南山の竹を尽くしても罪を書ききれず、東海の波を切って流しても悪を流しきれないという言葉を踏まえています。昔は竹を削った竹簡に文字を書いたので、南山の竹をすべて使っても足りないというのです。もとは罪の多さを言った言葉を、ここでは思いの深さに転じているのがおもしろいところです。後の二句では、愁いを雲に、涙を水にたとえ、途切れない悲しみを描いています。言葉にしきれない思いを抱えたことは誰にでもあるでしょう。その尽きなさこそが、思いの深さの証なのかもしれません。
この章句が説くこと
情恋慕愁い誇張涙
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