酔古堂剣掃 / 集情・相思の字を寫し盡さず
縱使女媧煉石,補不就離恨天。雖令司馬操觚,寫不盡相思字。
新字:縦使女媧煉石,補不就離恨天。雖令司馬操觚,写不尽相思字。
書き下し
縱使ひ女媧石を煉るとも、離恨の天を補ひ就さず。司馬をして觚を操らしむと雖も、相思の字を寫し盡さず。
現代語訳
たとえ女媧(天の穴を石で補った女神)が石を練ったとしても、別れの恨みの天の穴は補いきれません。たとえ司馬相如に筆をとらせたとしても、恋しい思いの言葉は書き尽くせません。
解説
別れの悲しみと恋しさの深さを、神話と文人を持ち出して言い表した対句です。女媧は、天が崩れたときに五色の石を練って空を補ったという神話の女神です。離恨天は、別れの恨みがつまった天という意味の言葉です。司馬は、名文で知られ卓文君との恋でも名高い漢の司馬相如とみられ、觚は昔の書写用の木の札です。天を修理した神にも、天下の名文家にも手に負えないほど、思いは大きいというのです。本当に大切な気持ちは、言葉にしきれないものです。それでも伝えようとする努力の中にこそ、相手を思う心が表れるのでしょう。
この章句が説くこと
情別離恋愛神話文学
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