酔古堂剣掃 / 集情・此の夜の姜家の被
檣標遠漢,昔時魯氏之戈;帆影寒沙,此夜姜家之被。
書き下し
檣は遠漢に標す、昔時の魯氏の戈;帆は寒沙に影す、此の夜の姜家の被。
現代語訳
帆柱は遥かな天の川を指して立ち、昔の魯陽公(戦国時代、戈で沈む日を招き戻したという人)の戈のようです。帆の影は冷たい砂浜に落ち、今宵は姜家(後漢の姜肱の兄弟が一つの布団で寝たという話)の大きな掛け布団のように広がります。
解説
船旅の夜景を、二つの故事に見立てた四六の対句です。魯氏の戈は『淮南子』に見える話で、魯陽公が戦の最中に日が暮れかかると、戈を揮って太陽を招き、引き戻したといいます。姜家の被は、後漢の姜肱が兄弟と仲が良く、大きな布団を作って共に寝たという話です。空高く立つ帆柱を太陽を招く戈に、砂浜に広がる帆影を兄弟で分け合う布団に見立て、雄大さと温かさを一対にしています。旅の宿りにも、家族や仲間を思う心が寄り添っています。遠く離れていても、ともに眠った夜の記憶は人を温めてくれるものです。
この章句が説くこと
旅情兄弟故事友愛夜景
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