酔古堂剣掃 / 集情・窈窕たる閒館方に客愁を增す
逶迤洞房,半入宵夢,窈窕閒館,方增客愁。
書き下し
逶迤たる洞房、半ば宵夢に入り、窈窕たる閒館、方に客愁を增す。
現代語訳
長く奥へと続く寝室は、半ば夜の夢の中に溶けこみ、奥深く静かな客舎は、ちょうど旅人の憂いを深めます。
解説
夜の建物の奥深さが、そのまま心の奥の思いに通じることを詠んだ対句です。逶迤はうねうねと長く続くさま、洞房は奥まった寝室です。窈窕はここでは奥深く静かなさまで、閒館はひっそりした館、客愁は旅先で感じる寂しさです。家の奥にいる人は夢の中で誰かを思い、旅の宿にいる人は家を思う。離れた二人がそれぞれの夜に同じように相手を思っていることが、対句の形で浮かび上がります。出張先の静かなホテルの夜に、ふと家族を思い出すのは、昔の人も同じでした。離れていても思い合っている関係は、それだけで支えになります。
この章句が説くこと
旅情夜郷愁夫婦
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