酔古堂剣掃 / 集情・蟲先づ覺る
薄霧幾層推月出,好山無數渡江來;輪將秋動蟲先覺,換得更深鳥越催。
新字:薄霧幾層推月出,好山無数渡江来;輪将秋動虫先覚,換得更深鳥越催。
書き下し
薄霧幾層か月を推して出だし、好山無數江を渡りて來る;輪は將に秋に動かんとして蟲先づ覺り、更の深きに換へ得て鳥越いよ催す。
現代語訳
幾重かの薄い霧が月を押し出すように昇らせ、数えきれない美しい山々が川を渡ってこちらへやって来るように見えます。季節の輪が秋へと動き出すと虫がまずそれに気づき、夜が更けていくと鳥がいっそう鳴いて時をせかします。
解説
月の出から夜更けまでの時の移ろいを、四つの景で描いた七言の四句です。前半は視覚で、霧が月を押し出し、山が川を渡ってくるという擬人的な表現が生き生きとしています。後半は聴覚で、秋の訪れを最初に知るのは虫であり、夜更けを告げるのは鳥だと言います。輪は時や季節がめぐる輪、更は夜の時刻の区切りです。人は季節の変わり目に気づくのがいつも遅れがちですが、虫や鳥は敏感に感じ取っています。集情に置かれたのは、移ろう時が人の思いをかき立てるからでしょう。小さな変化に先に気づく感性を、日々の中で養いたいものです。
この章句が説くこと
自然季節秋月夜感性
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