酔古堂剣掃 / 集情・終に客衫の黃に遇はんことを期す
那忍重看娃鬢綠,終期一遇客衫黃。
新字:那忍重看娃鬢緑,終期一遇客衫黄。
書き下し
那ぞ重ねて娃鬢の綠を看るに忍びん、終に一たび客衫の黃に遇はんことを期す。
現代語訳
どうしてまた娘のつややかな黒髪を見るのに耐えられましょう。いつかは黄色い上着の客(唐の伝奇で、薄情な恋人を連れ戻した義侠の士)に一度めぐり会うことを願っています。
解説
裏切られた恋の悲しみと、正義の手が差し伸べられることへの願いを詠んだ対句です。娃は美しい娘、鬢綠はつややかな黒髪です。客衫黃は、唐の蔣防の伝奇『霍小玉伝』に登場する黄衫の客を踏まえるとみられます。書生の李益に捨てられて病み衰えた霍小玉のもとへ、黄色い上着の豪士が李益を無理やり連れてきたという話です。美しかった日の自分を見るのもつらいほど傷ついた人が、いつか誰かが不実を正してくれることを待っている、という切実な思いが込められています。弱い立場の人の嘆きに気づき、手を貸す黄衫の客のような人でありたいものです。
この章句が説くこと
恋情義侠伝奇悲嘆正義
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