酔古堂剣掃 / 集情・逆へて行人の至るを想ふ
手巾還欲燥,愁眉即使開,逆想行人至,迎前含笑來。
新字:手巾還欲燥,愁眉即使開,逆想行人至,迎前含笑来。
書き下し
手巾還た燥かんと欲し、愁眉即ち開かしむ、逆へて行人の至るを想ひ、前に迎へて笑みを含みて來る。
現代語訳
涙にぬれた手ぬぐいも乾きかけ、憂いにひそめた眉もすぐに開かせましょう。旅に出た人が帰ってくるのを先回りして思い描き、前へ進み出て、笑みを浮かべて迎えに行くのです。
解説
旅立った人の帰りを待つ女性の心を、明るく描いた小詩です。手巾は手ぬぐい、愁眉は憂いのためにひそめた眉です。逆へて想ふは、まだ来ていないのに来る様子を先に思い描くことです。泣き暮らしていた人が、帰りを思い浮かべるうちに涙が乾き、眉が開いて、もう迎えに出る自分の姿まで想像しているという心の動きが、生き生きと表されています。待つ時間はつらいものですが、再会の喜びを先に思い描くことで、心は少しずつ明るくなります。先の楽しみを具体的に思い浮かべることは、今をしのぐ力にもなるのです。
この章句が説くこと
情待つ再会希望夫婦
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