酔古堂剣掃 / 集情・枕上に曾て逢ひし女
未知枕上曾逢女,可認眉尖與畫郎。
新字:未知枕上曽逢女,可認眉尖与画郎。
書き下し
未だ知らず枕上に曾て逢ひし女なるかを、眉尖と畫郎とを認むべきや。
現代語訳
夢の枕の上でかつて逢った娘なのかどうかは分かりません。眉の先と、その眉を描いてくれた男のことを、見覚えていてくれるでしょうか。
解説
夢の中の出会いと、夫婦の睦まじさの故事を重ねた艶やかな対句です。枕上に逢う女は、楚の王が夢で巫山の神女と契ったという宋玉の賦の話を思わせます。畫郎は眉を描く男のことで、漢の張敞が妻の眉を描いてやったという話がよく知られています。夢で見た面影が本当にあの人だったのか、あの人は自分を覚えてくれているのか、確かめようのない思いが揺れています。恋の不確かさを、故事をさりげなく借りて描くところにこの集の味わいがあります。確かめられない思いを抱えるとき、人は言葉を選ぶことで心を整えるのだと気づかされます。
この章句が説くこと
恋情夢画眉夫婦詩情
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