酔古堂剣掃 / 集情・江南吳越の清風を吞む
醉把盃酒,可以吞江南吳越之清風;拂劍長嘯,可以吸燕趙秦隴之勁氣。
新字:酔把盃酒,可以呑江南呉越之清風;払剣長嘯,可以吸燕趙秦隴之勁気。
書き下し
醉ひて盃酒を把れば、以て江南吳越の清風を吞むべく;劍を拂ひて長嘯すれば、以て燕趙秦隴の勁氣を吸ふべし。
現代語訳
酔って杯を手にすれば、江南の呉や越の清らかな風を飲み込むことができ、剣を払って声を長く引いて歌えば、北方の燕・趙・秦・隴の力強い気を吸い込むことができます。
解説
南の清らかさと北の力強さを、酒と剣で対にした豪快な一則です。江南の呉越は今の江蘇・浙江あたりで、水と緑に恵まれた柔らかな風土です。燕趙秦隴は今の河北・山西・陝西・甘粛あたりで、古来、悲歌慷慨の士を出したとされる土地です。長嘯は口をすぼめて声を長く引く発声で、隠者や豪傑の気晴らしとされました。杯一つ、剣一振りで天下の気を身に取り込むという大きな気宇がこの句の魅力です。狭い部屋で働いていても、心の中では大きな景色を思い描くことができます。気分が縮こまったときに思い出したい句です。
この章句が説くこと
豪放気宇酒長嘯風土
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