酔古堂剣掃 / 集情・墮馬の結中に翡翠搖らぐ
桃花水泛,曉妝宮裡膩胭脂;楊柳風多,墮馬結中搖翡翠。
新字:桃花水泛,暁妝宮裡膩胭脂;楊柳風多,堕馬結中揺翡翠。
書き下し
桃花水泛べば、曉妝の宮裡に胭脂膩く、楊柳風多ければ、墮馬の結中に翡翠搖らぐ。
現代語訳
桃の花の咲くころに川の水があふれると、朝の化粧をする宮中では紅がつややかに映え、柳に風がしきりに吹くと、墮馬髻に結った髪の中で翡翠の飾りが揺れます。
解説
春の宮中の女性の姿を、自然の景と重ねて描いた艶やかな対句です。桃花水は桃の花が咲くころの雪解けの増水で、春の訪れを告げるものです。曉妝は朝の化粧、胭脂は紅、膩くはつややかなことです。墮馬は後漢の梁冀の妻が始めたという、片側に垂らして結う髪型で、翡翠はその髪を飾る宝石や羽の飾りです。川の水の色が紅に通じ、柳の揺れが髪飾りの揺れに通じるという、自然と人の姿の響き合いが美しいところです。季節の移ろいを装いに取り入れる感覚は、日本の着物や和菓子の世界にも通じる、豊かな美意識です。
この章句が説くこと
美人春風雅装い情
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