酔古堂剣掃 / 集情・女媧氏も離恨の天を補ひ完うせず
費長房縮不盡相思地;女媧氏補不完離恨天。
新字:費長房縮不尽相思地;女媧氏補不完離恨天。
書き下し
費長房も相思の地を縮め盡さず。 女媧氏も離恨の天を補ひ完うせず。
現代語訳
大地を縮める術を持つ費長房でも、恋しい人との間の土地は縮めきれません。天を補った女媧でも、別れの恨みの天は補いきれません。
解説
神仙の不思議な術でさえどうにもならない恋の隔たりを、二つの伝説で表した対句です。費長房は後漢の人で、仙人から術を授かり、大地を縮めて遠い道のりを一瞬で行き来できたと伝えられます。女媧は中国神話の女神で、天が崩れたとき五色の石を練って天を補ったとされます。どれほどの神通力でも、恋しい人との距離は縮まらず、別れの恨みで裂けた天は繕えないというのです。前の則の離恨天を受けて、救いのない面を描いたものとも読めます。物理的な距離が縮まった今日でも、心の距離は技術では埋められません。人の心の隔たりを埋めるのは、結局は人自身の思いだけなのでしょう。
この章句が説くこと
情離別神話隔たり相思
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