酔古堂剣掃 / 集情・閬苑に書有りて多く鶴に附す
閬苑有書多附鶴,女牆無樹不棲鸞,星沈海底當窻見,雨過河源隔座看。
新字:閬苑有書多附鶴,女牆無樹不棲鸞,星沈海底当窓見,雨過河源隔座看。
書き下し
閬苑に書有りて多く鶴に附し、女牆に樹として鸞を棲ましめざる無し、星は海底に沈みて窻に當りて見え、雨は河源を過ぎて座を隔てて看る。
現代語訳
仙人の住む閬苑では、手紙の多くを鶴に託して届けさせ、女牆(女牀の山)には、鸞が棲まない木は一本もありません。星が海の底に沈むのを窓越しに眺め、雨が天の川の源を過ぎていくのを、座ったまま遠く見やります。
解説
晩唐の李商隠の詩、碧城の一節です。閬苑は崑崙山にあるという仙人の庭、鶴は仙人の使いです。原詩では女牀とあり、鸞が棲むという伝説の山の名で、ここでは女牆と書かれています。仙界の華やかな暮らしを描きながら、実は道教の寺院に入った女性たちとの秘めた恋を詠んだものとも言われ、李商隠らしい謎めいた美しさがあります。星も雨も手の届かない遠いものとして眺められているところに、近づけない相手への思いがにじみます。はっきり言わずに匂わせる表現は、読む人の想像を大きく広げます。説明しすぎない伝え方にも、それなりの力があるということです。
この章句が説くこと
情詩仙境恋愛風雅
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