酔古堂剣掃 / 集情・孤鳴翱翔して去らず
孤鳴翱翔以不去,浮黯䨴而荏苒。
書き下し
孤鳴翱翔して以て去らず、浮かべる黯䨴として荏苒たり。
現代語訳
ひとり鳴く鳥は空を舞いめぐって去ろうとせず、浮かぶ暗い雲は重く垂れこめて、時だけがゆるやかに過ぎていきます。
解説
去りがたい思いと、晴れない心を風景に託した対句です。孤鳴は群れを離れて鳴く鳥、翱翔は空を大きく舞うことです。䨴は雲が重なるさま、荏苒は時がじわじわと過ぎていくことをいいます。鳥が同じ場所を離れられずに舞い続ける姿は、別れた人を思い切れない心そのものです。垂れこめる雲の下で時が過ぎていく様子は、気持ちが晴れないまま日々が流れていく感覚を伝えます。こうした気分は誰にでもあるものです。無理に振り払おうとせず、いまの自分はこういう空模様なのだと認めることが、かえって心を軽くしてくれることもあります。
この章句が説くこと
情孤独別離自然憂い
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