酔古堂剣掃 / 集情・鳳凰は斷絃の鳴に上らず
蝴蝶長懸孤枕夢,鳳凰不上斷絃鳴。
新字:蝴蝶長懸孤枕夢,鳳凰不上断絃鳴。
書き下し
蝴蝶は長く孤枕の夢に懸り、鳳凰は斷絃の鳴に上らず。
現代語訳
蝶の夢はいつまでも一人寝の枕にかかり続け、鳳凰の曲は、切れた弦ではもう奏でられません。
解説
連れ合いを失った人の孤独を詠んだ対句です。蝴蝶は荘子の胡蝶の夢を踏まえ、はかない夢のことです。孤枕は一人で寝る枕をいいます。鳳凰は、司馬相如が琴で奏でて卓文君の心をつかんだという鳳求凰の曲を思わせ、夫婦の和合の象徴です。断絃は琴の弦が切れることで、古くから妻を亡くすことのたとえとされました。夢の中ではまだ相手がいるのに、目が覚めれば二人で奏でる曲はもう鳴らない、という対比が胸に迫ります。大切な人を失った悲しみは簡単には癒えませんが、それを言葉にして見つめることが、心を整える第一歩になることもあります。
この章句が説くこと
情別離孤独夫婦夢
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