酔古堂剣掃 / 集情・野花も目を艷やかにす
野花艷目,不必牡丹,村酒酣人,何須綠蟻。
新字:野花艶目,不必牡丹,村酒酣人,何須緑蟻。
書き下し
野花も目を艷やかにす、必ずしも牡丹ならず。 村酒も人を酣はしむ、何ぞ綠蟻を須ゐん。
現代語訳
野の花でも目を楽しませてくれます。必ずしも牡丹でなくてよいのです。村の酒でも人を心地よく酔わせてくれます。どうして上等の酒でなければならないでしょうか。
解説
素朴なもので十分に満たされるという、心のゆとりを述べた対句です。牡丹は花の王と呼ばれた華やかな花、緑蟻は新しく醸した酒の表面に浮かぶ緑がかった泡のことで、唐の白居易の詩にも詠まれ、よい酒の代名詞とされました。野に咲く名もない花も目を喜ばせ、村の地酒も十分に人を酔わせてくれます。大切なのは物の値打ちではなく、それを楽しむ心のほうだというのです。恋の嘆きが続いたあとに置かれた、ほっと息をつくような一則です。高価なものや評判のものでなくても、身近なもので満足できる人は、どこにいても楽しみを見つけられます。
この章句が説くこと
知足素朴閑適清貧風雅
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