酔古堂剣掃 / 集情・千疊の雲山千疊の愁ひ
千疊雲山千疊愁,一天明月一天恨。
新字:千畳雲山千畳愁,一天明月一天恨。
書き下し
千疊の雲山千疊の愁ひ、一天の明月一天の恨み。
現代語訳
幾重にも重なる雲のかかった山々は、幾重にも重なる愁いです。空いっぱいに輝く明るい月は、空いっぱいの恨めしさです。
解説
目の前の景色をそのまま心の重さに置きかえた、簡潔な対句です。千畳は幾重にも重なること、一天は空いっぱいを言います。遠く隔てる山並みの重なりは、そのまま越えられない愁いの重なりに見えます。空一面の月の光も、離れた相手も同じ月を見ているかと思えば、かえって恨めしさを募らせます。千畳と千畳、一天と一天と、同じ語を景と情の両方に用いることで、景色と心がぴたりと重なる効果を生んでいます。昔の詩人は、月を離れた人とつながるものとしてよく詠みました。遠くにいる大切な人を思うとき、同じ空を見上げていると考えるだけでも、少し心が近づく気がするものです。
この章句が説くこと
情月愁い景色離別
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