酔古堂剣掃 / 集情・燕の約鶯の期
燕約鶯期,變作鸞悲鳳泣;蜂媒蝶使,翻成綠慘紅愁。
新字:燕約鶯期,変作鸞悲鳳泣;蜂媒蝶使,翻成緑惨紅愁。
書き下し
燕の約鶯の期、變じて鸞の悲しみ鳳の泣と作る。 蜂の媒蝶の使、翻って綠の慘紅の愁と成る。
現代語訳
燕や鶯のように交わした逢瀬の約束は、変わって鸞や鳳がつがいを失って悲しみ泣くことになりました。蜂や蝶のように取り持ってくれた仲立ちも、かえって緑の葉が痛み紅の花が愁うことになってしまいました。
解説
恋の始まりの華やぎが、別れの悲しみに変わっていく様子を、鳥と虫の対で描いた一則です。燕や鶯は春の恋の約束、蜂や蝶は花から花へと取り持つ仲人や使いのたとえです。鸞と鳳は夫婦や恋人の象徴の鳥で、その悲しみと涙は別れのつらさを表します。緑慘紅愁は、青葉も紅の花も色を失って愁いに沈むさまで、恋の終わりの寂しさを言います。前半と後半がそれぞれ、明るい春の景色から悲しみへと反転する形になっているのが工夫です。うまくいっていた関係が思いがけず暗転することは、恋に限らずあるものです。始まりの華やかさだけでなく、その後の移ろいも人生の一部として受けとめる強さを持ちたいものです。
この章句が説くこと
情離別恋慕無常春
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