酔古堂剣掃 / 集醒・生死の路上は正に糊塗を要す
名利場中,難容伶俐;生死路上,正要糊塗。
書き下し
名利場中は、伶俐を容れ難し。 生死の路上は、正に糊塗を要す。
現代語訳
名誉と利益を争う場では、利口者はなかなか受け入れられません。生と死の分かれ道では、まさにぼんやりとした大らかさが必要です。
解説
利口さの限界と、とぼけることの効用を二つの場面で述べた対句です。伶俐は頭が回って抜け目のないこと、糊塗はぼんやりとして物事をはっきりさせないことを言います。名利を争う場では、利口に立ち回る人ほど周りから警戒され、足を引っ張られて、かえって身の置き場がなくなります。また生死の分かれ目のような大事に臨んでは、損得を細かく計算するより、いっそ腹をくくって大らかに構えたほうが、心が乱れずに済みます。集醒の前のほうにある、とぼけることを時に従う妙法とした一則と同じく、愚に見える知恵を勧めるものです。すべてを見通そうとして疲れたときには、あえて細かいことを考えない余白を持つことも大切です。
この章句が説くこと
処世韜晦名利生死愚
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