酔古堂剣掃 / 集醒・人當に寸ごとに陰を惜しむべし
駟馬難追,吾欲三緘其口;隙駒易過,人當寸惜乎陰。
新字:駟馬難追,吾欲三緘其口;隙駒易過,人当寸惜乎陰。
書き下し
駟馬も追ひ難し、吾れ其の口を三緘せんと欲す。 隙駒は過ぎ易し、人當に寸ごとに陰を惜しむべし。
現代語訳
一度口から出た言葉は四頭立ての馬車でも追いつけません。だから私は口を三重に封じておきたいと思います。戸の隙間を白馬が駆け抜けるように時は過ぎやすいものです。だから人はわずかな時間をも惜しむべきです。
解説
言葉と時間という、取り返しのつかない二つのものを並べた対句です。駟馬難追は『論語』顔淵篇の「駟も舌に及ばず」に由来し、一度口にした言葉は四頭立ての馬車でも追いつけないことを言います。三緘其口は、周の廟にあった金の人形の口が三重に封じられていたという『孔子家語』の話によるもので、言葉を慎むことのたとえです。隙駒は『荘子』に見える「白駒の隙を過ぐるが若し」によるもので、人生の短さを表します。寸陰を惜しむは、晋の陶侃の言葉として知られます。失言も過ぎた時間も、あとから取り戻すことはできません。話す前に一呼吸おき、何気ない時間を大切に使うことを改めて思い出させてくれる句です。
この章句が説くこと
寡言時間慎み光陰修身
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