酔古堂剣掃 / 集醒・越〻閒なれば越〻清高を見る
世上人事無窮,越干越見不了,我輩光陰有限,越閒越見清高。
書き下し
世上の人事は窮まり無し、越〻干せば越〻了らざるを見る。我輩の光陰は限り有り、越〻閒なれば越〻清高を見る。
現代語訳
世の中の人事は果てしがありません。関われば関わるほど、終わりがないことがわかります。私たちの時間には限りがあります。ゆったりすればするほど、清らかで気高いことがわかります。
解説
果てしない世事と限りある時間とを対比し、閑を大切にせよと説く対句です。人事は人間社会のさまざまな用事や付き合いのことです。干すは関わる、手を出すという意味です。世の中の用事はいくらでもあり、手を出せば出すほど次々と新しい用事が生まれて、終わることがありません。一方、自分の人生の時間には限りがあります。だからこそ、あえて閑を作れば作るほど、心は清らかに高くなっていくというのです。越〻は、いよいよ、ますますという意味で、二つの句の中で同じ形が繰り返されています。何でも引き受けてしまう人は、自分の時間を失います。本当に大切なことのために、関わらない勇気を持ちたいものです。
この章句が説くこと
閑適時間惜陰処世清高
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集靈・太だ閒なれば反つて惡業を生ず人生は閒に如くは莫し、太だ閒なれば反つて惡業を生ず。人生は清に如くは莫し、太だ清なれば反つて俗情に類す。
-
『酔古堂剣掃』集素・世味淡ければ閒自ら來る世味濃やかなれば、忙を求めずして忙自ら至る。 世味淡ければ、閒を偸まずして閒自ら來る。
-
『酔古堂剣掃』集靈・一分の閒事を攬れば永く閒を得ず一句の好言を說き得れば、此の懷庶幾くは才かに好し。一分の閒事を攬り了れば、此の身永く閒を得ず。
-
『酔古堂剣掃』集醒・未だ老いずして閒を得人生足るを待たば、何れの時にか足らん。 未だ老いずして閒を得て、始めて是れ閒なり。
-
『酔古堂剣掃』集醒・閒中の滋味最も長し冷より熱を視て、然る後に熱處の奔馳の益無きを知る。冗より閒に入りて、然る後に閒中の滋味の最も長きを覺ゆ。
-
『酔古堂剣掃』集靈・爭務短ければ則ち日月長し耳目寬なれば則ち天地窄く、爭務短ければ則ち日月長し。