酔古堂剣掃 / 集醒・乍ち交はるには傾倒すべからず
乍交不可傾倒,傾倒則交不終;久與不可隱匿,隱匿則心必嶮。
新字:乍交不可傾倒,傾倒則交不終;久与不可隠匿,隠匿則心必嶮。
書き下し
乍ち交はるには傾倒すべからず、傾倒すれば則ち交はり終へず。 久しく與にするには隱匿すべからず、隱匿すれば則ち心必ず嶮し。
現代語訳
知り合ったばかりのうちから、すべてをさらけ出して心酔してはいけません。そうすると交わりは最後まで続きません。長く付き合う相手には、隠し事をしてはいけません。隠し事をすれば、心は必ず険しくなります。
解説
付き合いの始めと、長い付き合いとで、心の開き方を変えるよう説いた対句です。乍交は知り合って間もない交わり、傾倒は心を傾けてすべてを打ち明け、のめり込むことです。嶮は険しいことで、ここでは疑い合い、よそよそしくなる心を言います。出会ってすぐに意気投合し、何もかも打ち明けると、相手の欠点が見えたとたんに冷めやすいものです。逆に長年の間柄なのに隠し事を続けていると、互いの心にわだかまりが生まれます。最初は慎重に、長くなれば率直に、という順序が友情を長持ちさせるというのです。新しい職場や取引先との関係づくりにもそのまま当てはまる知恵です。
この章句が説くこと
交友信頼処世慎重率直
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