酔古堂剣掃 / 集醒・無事を料れば必ず事有り
平地坦途,車豈無蹶;巨浪洪濤,舟亦可渡;料無事必有事,恐有事必無事。
書き下し
平地坦途も、車豈に蹶く無からんや。 巨浪洪濤も、舟亦た渡るべし。 無事を料れば必ず事有り、事有るを恐るれば必ず事無し。
現代語訳
平らで広い道でも、車がつまずかないことがあるでしょうか。大きな波や荒れ狂う波でも、舟はやはり渡ることができます。何事もないだろうと見込めば必ず事が起こり、何か起こるのではないかと恐れていれば必ず何事も起こりません。
解説
油断と用心の逆説を述べた一則です。平らな道は安全だと思うと、かえって車は転びます。荒波は危険だと分かっていれば、慎重に舟を操るので渡りきれます。蹶はつまずき倒れることです。そこから、無事だと高をくくれば必ず事が起こり、事が起こるのを恐れて備えていれば必ず無事に済む、という結論が導かれます。事故や失敗の多くが、慣れた場面での気のゆるみから起こることは、今日の安全管理でもよく知られています。順調なときほど点検を怠らず、難しい局面では過度に怖がらず慎重に進む、その心構えを簡潔に伝えています。
この章句が説くこと
用心油断処世慎重備え
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