酔古堂剣掃 / 集醒・禽鳥の聲中に自性を聞く
雲煙影裡見真身,始悟形骸為桎梏;禽鳥聲中聞自性,方知情識是戈矛。
新字:雲煙影裡見真身,始悟形骸為桎梏;禽鳥声中聞自性,方知情識是戈矛。
書き下し
雲煙の影裡に眞身を見て、始めて形骸の桎梏たるを悟る。 禽鳥の聲中に自性を聞きて、方に情識の是れ戈矛なるを知る。
現代語訳
雲や霞の影の中に真の自己を見てはじめて、この肉体が手かせ足かせであったと悟ります。鳥のさえずりの中に自分の本性を聞いてはじめて、感情や分別が自分を傷つける矛であったと知ります。
解説
自然の中で本来の自己に目覚める体験を描いた、禅の色合いの濃い対句です。真身と自性は、ともに人がもともと備えている本来の姿を言います。桎梏は手かせ足かせ、戈矛は武器で、情識すなわち感情や分別の働きが、かえって自分を傷つけることのたとえです。流れる雲や鳥の声のように、何の作為もない自然に触れたとき、人は体や思考に縛られていた自分に気づきます。菜根譚にもほぼ同じ句があります。考えすぎて行き詰まったときは、理屈で解決しようとするより、外に出て空や鳥の声に身をゆだねるほうが、かえって心が解き放たれることがあります。
この章句が説くこと
自然禅自性悟り心
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