酔古堂剣掃 / 集醒・蛾の燈に撲つが似し
慾不除,似蛾撲燈,焚身乃止;貪無了,如猩嗜酒,鞭血方休。
新字:慾不除,似蛾撲灯,焚身乃止;貪無了,如猩嗜酒,鞭血方休。
書き下し
慾除かざれば、蛾の燈に撲つが似く、身を焚きて乃ち止む。 貪了る無ければ、猩の酒を嗜むが如く、鞭血して方に休む。
現代語訳
欲を取り除かなければ、蛾が灯火に飛び込むように、身を焼いてようやく止まります。貪りに終わりがなければ、猩々(伝説の獣)が酒を好むように、鞭打たれて血を流してはじめてやめるのです。
解説
欲と貪りの恐ろしさを、二つの生き物にたとえた対句です。蛾が灯火に吸い寄せられて身を焼くのは、古くから欲に溺れる者のたとえとして使われてきました。猩猩は中国の伝説の獣で、酒を好むため、罠と知りながら置かれた酒を飲んで捕らえられると言い伝えられています。どちらも、危険を知りながら目の前の快楽に引き寄せられ、痛い目を見るまでやめられない姿です。欲そのものは生きる力でもありますが、歯止めがなくなると身を滅ぼすまで止まりません。やめたいのにやめられない習慣があるとき、痛い目を見る前に自分で手を離す勇気を持ちたいものです。
この章句が説くこと
欲節制貪欲戒め修身
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